到着機と着陸許可
到着機の接近
VFR/IFRに限らず着陸機が管制圏に近づいてきた場合(上位の管制官がいない場合は空港から10nm程度)は、次の情報を通報します。なおアプローチ管制官からハンドオフされた場合は省略可能です。また管制官からハンドオフされない場合でも、ATISの受信を通報してきた場合は、☆がついているものを省略することができます。
・トラフィックパターンの旋回方向(左の場合は省略可能) ・使用滑走路☆ ・風向風速☆ ・高度計規正値☆ ・その他必要な情報
右旋回場周経路/(左旋回場周経路)、滑走路〔番号〕、風〔風向〕度〔風速〕ノット、QNH〔高度計規正値〕
RIGHT TRAFFIC / (LEFT TRAFFIC) RUNWAY〔number〕,WIND〔wind direction〕(DEGREES)AT〔wind velocity〕(KNOT/S),QNH〔setting〕.
Kumamoto tower, JA815C, VFR, 10nm Northwest of you. 1500ft. request landing instruction for full stop.
熊本タワー、こちらJA815C、VFRフライトです。現在位置は空港北西10海里で、高度は1500フィートです。着陸のための指示をお願いします。
JA815C, Kumamoto tower. runway 07, wind 070 at 12, QNH 2998. Report downwind.
JA815C、熊本タワーです。使用滑走路は07、風は70度から12ノット、高度規正値は29.98インチです。ダウンウィンドに入り報告して下さい。
Runway 07, QNH 2998, report downwind. JA815C.
滑走路07、高度規正値29.98インチ、ダウンウィンドで報告します。
着陸許可
航空機が滑走路上にいない(抜けた)場合、もしくは航空機が滑走路上空で変針して衝突の危険がなくなったときには着陸許可を発出します。着陸許可を発出した後は、その航空機の前方で離陸、滑走路上での待機、タクシー、滑走路の横断を許可を出してはいけません。
VATJPN管制方式基準 (III)2(9)aおよび(10)aに定める間隔が設定できると判断された場合には、着陸許可を出すこともできますが、基準を正確に理解する必要があります。
滑走路〔番号〕着陸支障ありません、風〔風向〕度〔風速〕ノット
RUNWAY〔number〕CLEARED TO LAND WIND〔wind direction〕(DEGREES) AT〔wind velocity〕(KNOT/S).
Japan Air 512, runway 34R cleared to land wind 080 at 7.
JAL512、滑走路34Rへの着陸支障ありません。風は80度から7ノットです。
航空機が滑走路端から2マイルの地点に来ても、着陸許可を出せない場合は、先行機に関する情報を提供します。また安全に着陸できない場合は復行(ゴーアラウンド)の指示を発出します。
気象状態により着陸許可が出せない場合
VFR機で着陸しようとする航空機に対して、気象状態がIMCのため、着陸許可が出せない場合は次の用語により通報します。
(雲高〔数値〕フィート、地上視程〔数値〕メートルです。)IMCなので着陸許可は発出できません。
UNABLE TO ISSUE LANDING CLEARANCE, FIELD IMC, (CEILING〔number〕 FEET, VISIBILITY〔number〕METERS).
タッチアンドゴー/ローアプローチの許可
航空機からタッチアンドゴー/ローアプローチの許可があった場合は、着陸時と同様の条件にて発出します。なお許可できない場合はその旨と代替指示を通報します。
滑走路〔番号〕ローアプローチ/タッチアンドゴー支障ありません、風〔風向〕度〔風速〕ノット
RUNWAY〔number〕CLEARED LOW APPROACH / TOUCH AND GO WIND〔wind direction〕(DEGREES) AT〔wind velocity〕(KNOT/S).
JA815C, runway 07, cleared touch and go, wind 070 at 7.
「cleared "TO" touch and go」は誤りです。
ローアプローチ/タッチアンドゴーは許可できません。〔代替指示〕
UNABLE LOW APPROACH/TOUCH-AND-GO,〔alternative instructions〕.
JA815C, unable touch and go, request your intention.
JA815C、タッチアンドゴーは許可できません。どのように飛行するか教えて下さい。
滑走路の離脱
必要に応じて、離脱する誘導路を指示します。なお言わなくてもパイロットは滑走路占有時間が最短となる誘導路から離脱します。
(もし可能なら)〔離脱地点〕で左/右へ曲がって下さい。
(IF ABLE) TURN LEFT / RIGHT〔turning point〕.
Japan Air 512, turn right T-5.
JAL512、T5を右折して下さい。
JA815C, turn right available taxiway.
JA815C、利用可能な誘導路で右折して下さい。
また後続機が接近しているなどの理由で航空機に対して急いで滑走路の離脱を指示することもできます。
急いで滑走路を離脱して下さい。
EXPEDITE VACATING RUNWAY.
周波数変更の許可(ハンドオフ)
滑走路離脱の指示に続いて、グランド管制官がログインしている場合にはグランド管制官にハンドオフします。
復行
滑走路が空いていない場合や、到着機の進入継続が安全でないと判断した場合は、復行を指示します。またその場合は飛行方法について指示をします。ただしIFR機ですでに進入復行(ミストアプローチ)をしている場合は飛行方法の指示について省略できます。
復行して下さい。(〔必要な指示〕〔理由〕 )
GO AROUND. (〔necessary instructions〕〔reason〕).
Japan Air 512, go around, execute missed approach. Traffic still on runway.
復行し進入復行を行って下さい。他機がまだ滑走路上にいます。
JA815C, go around. downwind approved.
復行して下さい。ダウンウィンドへの進入を許可します。