RAIMUtveeさん、こんにちは。
昨夜のイベントへのご参加、ありがとうございました。
管制方式等で定められている滑走/離脱/横断など滑走路に関するものと、東京の運用についてまとめてお答えいたします。
1. 着陸前にL-16の離脱を通報しても「Roger」だけではそれが承認されたものではありません。
ROGER-了解-当方はあなたの最後の送信を全部受信しました。(復唱を求められた場合 又はAFFIRM若しくはNEGATIVEによって返事する場合は使用しない。)
【VATJPN管制方式基準(Ⅰ) 総則 6b電話通信(2)(10) 送信要領e. 表中】
機体の性能等を考慮し、管制官はできる限り通報された誘導路からの離脱指示を発出しますが、後続機が接近している場合や、出発機がある場合など、L-16からの離脱に不都合がある場合は、要求・通報した誘導路以外の誘導路を指定されることがあります。
この場合、着陸前にその旨指示されることが多いかと思います。
a.到着機に対しては、必要に応じて適切な時機に着陸滑走路から離脱する誘導路等を指示するものとする。
Ph:(もし可能なら)〔離脱地点〕で左/右へ曲がってください。
(IF ABLE)TURN LEFT/RIGHT 〔turning point〕.
注: 操縦士は管制官の指示がない場合は、滑走路占有時間が最短となる誘導路から滑走路を離脱する。
【VATJPN管制方式基準(Ⅲ) 飛行場管制方式 2管制許可等(9) 滑走路離脱の指示 a.】
後続機が迫っている場合や出発機が離陸を待っている状況では、着陸前に滑走路からの早期離脱を示唆されることがある。
ATC: All Nippon 376, if able, vacate runway at first available taxiway, succeeding B747 3 miles behind you.
【AIM-j 2018年後期版 356.】
2. すでに過ぎた誘導路を指定されてしまった場合は復唱せず、すみやかに不可能である旨を通報し、再度L-16の離脱を要求するなど、代替の指示を要求してください。
「yes」/「no」で返答する必要のある場合は、"affirm"または"negative"の用語を使用し、「送信内容を了承しそれに従う」旨の意思表示としては"wilco"(will comply の略)を、または管制承認や管制指示の内容に従えない場合は"unable"の用語を使用すべきである
【AIM-j 2018年後期版 277. a. 注2 抜粋】
パイロット(PIC)は、運航の直接かつ最終的な責任者であり、航空機の性能または安全運航の観点から管制指示等に従うことが妥当ではないと判断した場合は速やかにその変更または代替指示等を要求すべきである。
【AIM-j 2018年後期版 290. 2)】
パイロットは、地上滑走中に経路等に迷いを生じたら、直ちにATCに通報して指示を得るべきである。
【AIM-j 2018年後期版 290. 5)】
3. 2020年5月現在、日本国内の空港ではLAHSOの運用はされていません。
着陸後の交差滑走路の横断について明文化された規定はありませんが、管制方式基準の交差滑走路における管制間隔に係る記述、また着陸許可が一つの滑走路全体に対して指示されることから、着陸後は滑走路の横断許可がなくてもL-16まで滑走することができると捉えることができます。同様に、滑走路22に着陸した場合でもA滑走路を横断することができます。
(b) 先行到着機が滑走路又は飛行経路の交差部分を通過したとき、後続出発機が使用する滑走路に入る恐れがなくなったときその他着陸して衝突の危険性がなくなったとき((4)-3図、(4)-4図、(4)-5図及び(4)-6図)
【VATJPN管制方式基準(Ⅲ) 飛行場管制方式 3管制間隔(4) 交差滑走路及び非交差滑走路における間隔 a. 抜粋】
【Ref. VATJPN管制方式基準(Ⅲ) 飛行場管制方式 2管制許可等(8) 着陸許可】
【Ref. AIP JAPAN RJTT AD 2.12 RUNWAY PHYSICAL CHARACTERISTICS 表中】
また、仮にLAHSOが運用されている空港であっても、着陸許可とは別にHOLD SHORT等の指示がない限りLAHSOは有効になりません。重ねて、LAHSOは必ず復唱すべき項目であり、安全上の理由等で拒否することも可能です。
【Ref. FAA JO7110.65 PCG L-1】
【Ref. FAR AIM 4-3-13 Land and Hold Short Operations (LAHSO)】
余談ではありますが、滑走路34LからB滑走路へ離脱する場合など、交差滑走路へ離脱する場合は、事前に別途管制許可を得なければいけません。
着陸滑走路から交差滑走路へ離脱する場合は、 事前に管制機関の許可を得なければならない。
【AIP JAPAN ENR 1.5-9 1.8.8.3】
続きます。