4.2.2 洋上管制交信の流れ

洋上管制交信の流れ

ACCからFSSへのハンドオフ

ACC(CTR)からFSSへハンドオフは、レーダーハンドオフが使えないため、チャットにより調整を行います。

RJTG_CTR : Japanair 6046 Estimate SABES at 1552, FL300, H/O.

RJTG_FSS : JAL6046, Roger.

FSSがハンドオフリクエストを受領した後、ACCは航空機に対してレーダーサービスの終了及び最初の義務位置通報点におけるFSSへの通報指示とともに、管制を終了します。

RJTG_CTR : Japanair 6046, Radar service terminated, Sqwauk 2000, Report SABES to Tokyo on 126.7.

JAL6046    : Sqwauk 2000, Report SABES on 126.7, good day, Japanair6046.

位置通報

パイロットは、最初の義務位置通報点でFSSを呼び込んできます。ファーストコンタクト時には、位置および予定時刻の通報の他に、大抵の場合SELCALチェックの要求をしてきます。

Tokyo, Japanair 6046, position.
TOKYO、日本航空6046、位置通報です。

Japanair 6046, Tokyo. Go ahead.
日本航空6046、TOKYO、どうぞ。

Japanair 6046 Position SABES at 1552, FL300, Mach point80, Estimate POXED at 1614, Next PUGAL, SELCAL BE-GJ, over.
日本航空6046はSEBESを1552Zに通過しました。高度はFL300、速度はマック0.80、(次の義務位置通報点である)POXEDには1614Zに到達予定、その次はPUGAL。SELCALコードはBE-GJ。どうぞ。

Japanair 6046, Tokyo, roger. Stand_by.
日本航空6046、了解しました。しばらくお待ちください。 ​(→VRCのSELCALパネルから、表示されているコールサインとコードが正しいことを確認し、ダブルクリックする。)

SELCAL check OK, thanks, Japanair 6046.
(ブザーの鳴動を確認後) SELCALチェック正常です。ありがとう。

この後は、指示が必要になった場合やパイロットからのリクエストが発生した場合を除き、航空機が義務位置通報点を通過するごとに位置通報がありますので、それを受領することを繰り返します。また、対地速度や燃料などの情報も通報してくることがあります。FSSは、確認などで特に必要がない限り、交信はRogerのみで構いません。

Tokyo, Japanair 6046, position.
TOKYO、日本航空6046、位置通報です。

Japanair 6046, Tokyo. Go ahead.
日本航空6046、TOKYO、どうぞ。

Japanair 6046 Position POXED at 1615, FL300, Estimate PUGALat 1654, Next PASRO. Mach point81, ground speed 512, wind 070 at 120. Remaining fuel 112.6, over.
日本航空6046はPOXEDを1552Zに通過しました。高度はFL300、速度はマック0.80、PUGALには1654Zに到達予定、その次はPASRO。対気速度マック0.81、対地速度512kt、風は070度から120kt、残存燃料は11万2600ポンド。どうぞ。

Japanair6046, Tokyo, roger. 
日本航空6046、了解しました。

航空機の呼び出し

パイロットが予期していないタイミングでこちらから呼び出す場合は、SELCALを使用します。

Tokyo, Japanair 6046, answering SELCAL.
(こちらが鳴らしたSELCALに反応して) TOKYO、日本航空6046、SELCALへの応答です。

ATC requests Japanair 6046, confirm latest PUGAL estimate.
日本航空6046、ATCは最新のPUGAL到達予定時刻の確認を求めていますので、通報してください。

Tokyo, Japanair 6046, estimate PUGAL at 1653.
TOKYO、PUGAL到達予定は1653Zです。

Japanair 6046, 1653, copy.
1653Z、了解しました。

リクエストへの対応

パイロットからのリクエストに対する承認は管制官が行い、FSSはその伝達を行います。

Tokyo, Japanair 6046, request.
TOKYO、日本航空6046、リクエストがあります。

Japanair 6046, Tokyo, go ahead.
日本航空6046、TOKYOです。どうぞ。

Request FL370 due to turbulance, Japanair 6046.
乱気流のためFL370での飛行を要求します。

Japanair 6046, Stand-by.
しばらくお待ちください

ATC advises Japanair 6046, unable FL370 due to Trafficc.
ATCによると、他機との間隔※のため、FL370は承認できないとのことです。

Roger... then request 20NM left of track deviation, Japanair 6046.
了解しました・・・それでは、経路から20NM左への逸脱をリクエストします。

Japanair 6046, Stand-by.
しばらくお待ちください。

ATC clears Japanair 6046, 20NM left of track deviation approved. Report back on course.
ATCは、20NM左への経路逸脱を許可しました。元の経路に復帰したら報告してください。

ATC clears 20NM left. We will report back on course, Japanair 6046.
20NM左への経路逸脱が許可された旨了解しました。経路に復帰したら報告します。

 

※大抵の場合で、同高度を同方向へ巡航中の2機の最低縦間隔は10分です。
細かい規則については、はVATJPN管制方式基準(2)-2を参照のこと。

便利ツール

ニュージーランド支部のサイトですが位置通報に便利なツールがありますので紹介します。

https://www.vatnz.net/pilots/oceanic-report-tool/