計器進入およびミストアプローチ

計器進入およびミストアプローチ

ここに書いてあるすべての情報はVATSIMでフライトするためだけに使用します。実際のフライトでは使用しないでください。

SIDを使った出発

IFRで飛行をする場合、レーダーベクターをしてもらう場合以外は、基本的にSID(標準計器出発方式)を使って航空路やRNAVルートに乗ります。

SIDはその地形などを考慮して決められた経路です。SIDを使って出発する場合は、その経路から逸脱しないようにしましょう。特にトラフィックの多い空港でそのようにされると衝突の危険があります。

STARを使った進入

STAR(標準到着経路)は航空路から計器進入の進入フィックスまでを結ぶ経路です。STARが分かる場合にはこのルートに乗って進入を開始することで、特に管制官がいない場合で、数機トラフィックがいるときに役に立ちます。
もちろんSTARを使った進入をするときにはチャートに記された経路を飛行するようにしましょう。

計器進入

IFRにおける進入方式は計器進入および目視進入・視認進入となります。各空港のアプローチチャートにそれぞれの計器進入方式に関する進入の仕方が詳細に書かれています。

計器進入には大きく分けて二つあります。

  • 非精密進入
  • 精密進入


非精密進入とはVOR/DME, NDBなどの航法無線施設を用いて進入する、もしくはRNAVでの進入方式です。一方精密進入とはILSを使って進入する方式です。それぞれの進入方式に は最低気象条件が決められており、降りていい高度(MDA, DA, DH)と視程(Visibility, RVR, CMV)が決められています。非精密進入は精密進入と比較して条件がきつく設定されています。従って天候が悪い場合は必然的に精密進入での進入を選びます。

なお天気が良いときに、管制官がビジュアルアプローチ(視認進入)を許可するときもありますが、これもIFRにおける進入方式のひとつです。

非精密進入

VOR/DME, NDB, LLZを使ったアプローチです。基本的には基点となるVOR/DMEから基礎旋回を行いながら降下し、滑走路へのアプローチを行う方法です。名称は例えば"VOR/DME RWY32"のように無線施設と、アプローチする滑走路の番号を組み合わせたものです。そもそもサークリングアプローチ(周回進入、後述)を期待する場合には"VOR A"というように滑走路番号が付いていません。

どのような経路に従って降りれば良いかは、チャートに記載されています。また高度制限も記載されています。

非精密進入で最終的に降下して良い最低高度はMDA(最低降下高度:Minimam descent altitude)と呼ばれており、チャートの高度制限に従いながら最終的にはこの高度まで降ります。さらにチャートに示されているVDP(目視降下点:Visual descent point)、もしくはMAPt(ミストアプローチポイント)へ到達しても滑走路等が見えない場合には、ミストアプローチを実行します。

精密進入

ILSを使ったアプローチです。ローカライザーおよびグライドスロープから得られる理想的な進入ルートに沿ってアプローチする方法です。名称"ILS RWY16"のように、"ILS"に滑走路番号がついたものとなります。非精密進入の時にはMDAまで降下しましたが、ILSの場合にはDA(決心高度:Decision Altitude)もしくはDH(決心高:Decision Height)まで降下が可能です。なおこのDA、DHはILSのカテゴリーにより変わります。

ILSのカテゴリーは、下記の5種類があります。

  • カテゴリーⅠ
  • カテゴリーⅡ
  • カテゴリーⅢa
  • カテゴリーⅢb
  • カテゴリーⅢc


なおカテゴリーⅠおよびカテゴリーⅡはDA(DH)を用います。DHは気圧高度計により得られる高度を用い、DAは電波高度計により得られる高さを使います。カテゴリーⅠおよびⅡではDA、DHにおいて滑走路や進入灯などが見えない場合にはミストアプローチとなります。カテゴリーⅢでは、そういった高度はなく、灯火などが見えれば、そのまま自動着陸で着陸します。

なお操縦する飛行機がどのカテゴリーを使うかは、その空港に設置されているILSのカテゴリーと、自機(およびパイロット)がどのカテゴリーに対応しているかによります。カテゴリーⅢは、自動着陸機能を搭載している必要があります。

視認進入と目視進入

ビジュアルアプローチという言葉を聞いたことがあるかと思いますが、これは管制官から当該飛行場のトラフィックパターンへのベクターを受け、滑走路を視認してから進入する方式です。空港を視認できたら、管制官にこれを伝えビジュアルアプローチ(視認進入)の許可を受けてください。

JA815C, airport is 12 o'clock, 15 miles, report airport insight.

Approach, JA815C, airport insight.

JA815C, Join downwind. Cleared visual approach runway 07.

Cleared visual approach runway 07. JA815C.


一方目視進入とはコンタクトアプローチと呼ばれる方法で、アプローチ管制のない空港に進入するときにパイロットが、空港を目視し、計器進入方式の一部を省略して進入する方式のことです。なおこれについては管制官から示唆をすることはありませんので、パイロットからリクエストしてください。もちろんこの場合、計器進入方式が開始される高度以下に雲がないこと(シーリングがその高度以上)とちゃんと空港を目視できることが条件となります。ただしあくまでもIFRでの飛行となります。

Control, JA815C, Request contact approach.

JA815C, Contact approach approved. Report downwind for runway 31.

Wilco, JA815C.

周回進入

ある計器進入方式を使ってアプローチを行い、目視により滑走路を周回をしながら進入を行う方法です。チャートには"Circling"と書かれた別枠の最低気象条件が定められています。空港によってはサークリング方向が予め決まっていることがありますので、そのときはそれに従いましょう。

JA815C, Cleared for ILS runway 32L approach, then circle to runway 14R.

Cleared for ILS runway 32L approach, circle to runway 14R, JA815C.

ミストアプローチ/ゴーアラウンド

ゴーアラウンドは単に着陸を止めて上昇することを、ミストアプローチとは計器進入方式に従い降下し、予め指定されたミストアプローチの手順に沿って飛行することをいいます。計器進入の許可が出た場合、ミストアプローチも含めて承認されていることになります。計器進入での継続を止めて、上昇する場合はこのミストアプローチの手順に沿って飛行をしましょう。ですのでチャートをよく見ることは非常に重要なのです。慌てずにまず上昇し、コースに乗ることと管制官の指示に専念しましょう。
MAPtを過ぎた後やサークリング中はこのミストアプローチコースは適用されませんので、管制官に飛行方法のアドバイスを受けてください。
指示があるまで、原則として着陸しようとした滑走路の方向(空港の中心点と思われる方向)に向かい速やかに上昇した後、当該進入方式に公示された進入復行方式に従います。
なお天気のよい場合はトラフィックパターンへの進入を要求することもできます。

Approach, JA815C, go around. request vector to final.

JA815C, radar contact. fly heading 300 vector to final, climb and maintain 4000.

300, 4000ft, JA815C.